【自転車散歩。向かい風。薄明光線。独り占め。寂しい。】

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少し時間が出来たので、最近買った自転車に乗る。

1時間半ほどのライド。

左手に海を眺めながら走り続けることが出来るお気に入りのコース。

景色も良いし、距離も時間もちょうどいい。

しかし、今回のライド中は向かい風が強烈だった。

漕いでも漕いでも進まない。

驚いたのは、あまりの強風に下り坂で自転車が止まったのだ。

下り坂の前には上り坂がある。そして、強い向かい風。

上り坂と向かい風で疲れきった脚を休ませようと、下り坂でペダルを漕ぐのを止めた。

すると、強い突風が身体にぶつかった。

僕の目には下っていく道が見えているのに景色が動かない。

はじめての体験だった。

そんな強い向かい風は、ライド中盤から終盤までずっと吹いていた。

軽い「お散歩ライド」のつもりが、がっつりペダルを漕がされた。

景色は最高だった。

やっぱりこのコースが大好きだ。

そして、やっぱり山より海の景色が好きだ。

車を運転していると、綺麗な景色があってもそれを眺める余裕が無い。

いちいち車を停めることも出来ない。

自転車はそのあたりがとても便利だ。

気になる景色や、気になるお店、気になる建物…気になったらすぐにチェックできる。

少し休憩しようと、海が綺麗に見えるスポットで自転車を停めた。

強風の影響で白波がたくさん立っていた。

防波堤やテトラポッドにぶつかって白く弾け飛ぶ波。

太陽が雲に隠れているおかげで、雲の隙間から光が溢れていた。

調べてみると、「雲の隙間から見える光」には名前があるそうだ。

「薄明光線(はくめいこうせん)」や「光芒(こうぼう)」、「天使の梯子」など、色々と呼び方がある。

薄明光線が淡く光る空、少し荒れ気味の海。ずっと眺めていられる。

ただ、こういう綺麗な景色を見ていると寂しくなってしまう。

「ひとり」を強く感じてしまうのだ。

綺麗な景色を眺めることは好きなのだが、独り占めしたいわけではなくて、誰かと共有したいのだ。

そして、その誰かは奥さんや子どもたちで、いつか一緒に見れたらいいなぁ、と思う。

「綺麗な景色をぼーっと眺める」ということの楽しさは、小さい子どもたちには伝わりにくいだろうし、伝わったとしてもきっと動き回りたくなるだろう。

と、色々考えていたら寒くなってきた。

綺麗な景色を後にして、あったかい家を目指してペダルを漕いだ。

明日はきっと筋肉痛だ。

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